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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2017.09.22

業種や企業規模と長時間労働の問題

2017年9月22日に、経団連、日本商工会議所などの経済4団体と、労働組合の中央組織である連合が、働き方改革の推進に向けた労使共同のシンポジウムを開催しました。長時間労働を削減するため、「下請け企業や取引先に無理な要求をしない」など、商慣行の是正に向けた共同宣言の実行を確認したとのことです。

30社以上の企業で産業医をしていると、業種や企業の規模により長時間労働削減へのハードルが大きく異なることを実感します。

*長時間労働が削減しやすい会社
・付加価値が高いサービスを提供できる会社
・学生からの人気が高く、人集めに困らない会社
・従業員数が多く業務の調整がしやすい会社
・発注元であり自社で納期などを決められる会社

*長時間労働の削減が難しい会社
・労働集約的で付加価値を高めにくい会社
・建築業や運送業など、いわゆる3K業種
・納期などの関係で一時期に仕事が集中しやすい会社
・従業員数が少ない会社
・下請け的な仕事が多く自社で業務量を調整できない会社

後者のような会社は業務量や納期を自己調整しにくいため、「過大な業務の集中→労働環境の悪化→従業員が辞める・新人が入らない→労働環境の更なる悪化」の悪循環をきたしやすく、会社として長時間労働対策の必要性を理解していても、なかなか労働時間管理がうまくいかないケースが少なくありません。また付加価値を十分に高められない会社ではベースの給料を上げられず、従業員側も生活のために(残業代を期待して)長時間労働を甘受することもよく目にします。

マスコミには電通などの大会社がよく取り上げられますが、本当に対応が必要なのはこういった中小企業、零細企業であり、今回のシンポジウムのような場で多くの経済団体が共同宣言を出すことには大きな意味があると感じます。一方で、本宣言には何ら拘束力がないため、どの程度の実効性があるか疑問も残ります。いずれにせよ、こういった取り組みを通じて社会全体として長時間労働問題の解決を目指す流れができることを期待しています。

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