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Column記事

2019.01.22

(記事紹介)がん診断、初の全数調査

2019年1月17日 朝日新聞「がん診断、2016年は延べ99万人 初の全数調査」

厚生労働省は17日付で、2016年に全国で新たにがんと診断された患者は延べ99万5千人と発表した。全国の医療機関に情報提供を義務づける全国がん登録に基づく、初の全数調査。「詳細な分析ができるようになる。がん対策に生かしたい」と厚労省の担当者は言う。
これまでの都道府県レベルのがん登録は、病院の参加や患者の届け出が任意だったため、データの精度には地域差があった。2013年に成立したがん登録推進法で、全国約1万3千施設の情報を国が一元管理することになり、16年1月から登録が始まった。(略)16年の延べ数は男性56万6575人、女性42万8499人、性別不詳58名の計99万5132人。15年調査の89万1445にんより、10万3687人増えた。国立がん研究センターの若尾文彦・がん対策情報センター長は増加について「法律で義務づけられたことが大きい。分析も早くできるようになる」と話した。
部位別にみると、男性は胃、前立腺、大腸、肺、肝臓の順。上位5つの部位で67.8%を占めた。女性は乳房、大腸、胃、肺、子宮の順で64.2%。男女合計では大腸、胃、肺、乳房、前立腺の順だった。


これまで、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がんが、5大がんと呼称されてきました。これらのがんは、がん検診の診断効果(検診を実施することによって正しく診断され、がんによる死亡率が減少する効果)が科学的に証明されているため、国をあげて5大がんの早期診断、早期治療に力を入れてきました。一方で、これまでの日本のがん調査は任意の届け出に基づいており、法律で義務化されたものではありませんでした。そのため、日本のがん調査の地域差や精度が問題となっていました。

今回行われたがん診断の全数調査は、がん登録推進法という新たな法律に基づいて、がんの実態を明らかにしようとした初めての試みであり、日本の公衆衛生上の重要なデータとなることが予想されます。5大がんの中で、胃がん、子宮がんは減少傾向であり、肺がんや大腸がん、乳がんが増加傾向であると考えられてきましたが、今回の調査では胃がんが男性の1位、女性の3位であり、日本では依然として胃がんが多いことが示唆されます。また、前立腺がんは、従来の5大がんには含まれていませんでしたが、男性の2位、男女含めても5位となっており、前立腺がんに注目が集まっています。今後、初のがん診断の全数調査に基づいて、がん対策が変わる可能性もありますが、国が行った疫学調査を、国民ひとりひとりが、健康管理に役立てていくことも大切です。

なお、前立腺は男性のみにある臓器で、膀胱の出口に位置し、尿道を取り囲んでいます。一般に前立腺がんは加齢とともに増加し、早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。また多くの場合比較的ゆっくり進行します。このため最も有用な検査として、採血検査でPSA値という前立腺液中の蛋白質を測定することが勧められます。心配なかたは、泌尿器科などの医療機関を受診して相談してください。

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