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Column記事

2019.02.15

(記事紹介)副業と労働衛生管理

2019年2月2日 産経新聞「副業“解禁”から1年 踏み切れない企業の足かせ」

働き方改革の一環として厚生労働省が昨年1月、指針作成など副業解禁に向けて舵を切ってから約1年が経過し、取り入れる企業も現れている。単純な収入増だけではなく、人脈や経験など本業だけでは得られないキャリア形成ができるといった利点もあり、労働者の関心は高い。ただ、労務管理の難しさなどから解禁に踏み出せない企業も多く、浸透には課題も見え隠れしている。
こうした状況に、労働者の副業に対する関心も高まる。転職支援会社「エン・ジャパン」が昨年5月に公表した20~40代の正社員に対する意識調査では、副業に「興味がある」と回答した人は88%に上った。ただ、企業側への浸透は鈍い。経済産業省関東経済産業局が関東近郊の8千社を対象に昨年7~8月に行った調査では、大企業、中小企業ともに「取り組む予定はない」とする回答が約8割となった。


厚生労働省によると、労働者が勤務時間外に副業や兼業をすることについては、法的な規制はありません。しかし、多くの企業が参照する「モデル就業規則」では平成29年まで副業を禁じる表現が使われていました(平成30年1月に容認する表現に改定)。企業側が、副業の容認に消極的な理由としては、こうした従来の「モデル就業規則」で禁止されていたことに加え、「本業の業務に専念してもらえるのか」といった漠然とした不安が大きいと推測されます。
一方で、厚生労働省は平成30年1月、会社員らが副業や兼業をする際のガイドライン(指針)をまとめ、働き方の多様化を進めようとしています。それによると、企業は、労働者が希望すれば勤務時間外の副業を原則認める方向で検討することが明記され、情報漏洩(ろうえい)や競合他社で働いて自社の損害になる恐れがある場合などに限って副業を禁じることができるとされています。上記の記事に紹介されたように、副業を望む労働者が88%と多く、収入の増加や個人の人脈の蓄積、人生のやりがいなどにつながる期待が高まっていることを考慮すれば、今後、労務時間の管理や給与などの制度の整備とともに、副業を持つ労働者は一気に増加するのではないでしょうか。
しかし、注意すべきは、本業と副業を持つ労働者では、そうでない場合と比較して、就労時間が長くなる可能性がある点です。長時間労働(過重労働)は、脳卒中や心筋梗塞の発生、およびメンタルヘルス不調と強い関連があることが分かっています。時間外労働時間が50時間を超えると睡眠時間が6時間を切りやすくなり、時間外労働時間が100時間以上では睡眠時間の短縮や疾病発生頻度が著しくなることも知られています。副業をするのであれば、労働者自身が就業時間や健康管理をしっかり行う必要があるのは当然ですが、副業を許可する(受け入れる)企業側も十分な対策を講じる必要があるでしょう。

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