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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2014.08.25

タバコと健康

 2014年6年に労働安全衛生法が改正され、受動喫煙対策がより強化されました。現状では分煙対策がされていればオフィス内に喫煙所を設けることができますが、今後は全面禁煙が当然になるかもしれません。煙草を吸う方にとってはあまり面白くない変更かと思いますが、これほど喫煙対策が行われるのにも理由があります。喫煙は、ありとあらゆる生活習慣の中でも、最も健康への悪影響が大きいもので、なおかつ禁煙によって健康を取り戻すことも可能です。今回はタバコと健康について情報提供したいと思います。

1.(能動)喫煙による健康被害
 平成24年の調査で日本人の喫煙率は20.7%と推計されています(男性34.1%、女性9.0%)。以前に比べれば徐々に減っていますが、現在でも5人に1人は喫煙者ということです。
 タバコの煙には3000~4000種類の化学物質が含まれており、そのうち少なくても数十種類は発がん性が認められています。また、タバコを吸うと血管の老化が進み、脳梗塞や心筋梗塞も起こしやすくなります。日本では現在(能動)喫煙によって年間12-13万人が死亡していると推計されており、これは高血圧と並ぶ2大健康問題であると認識されています。


2.受動喫煙による健康被害
 喫煙による健康被害は喫煙者だけに生じるものではありません。副流煙(タバコの先から出る煙)には主流煙よりもずっと多くの発がん性物質が含まれています。受動喫煙による死亡者は年間6800人に上ると推計されており、そのうち3600人は職場での受動喫煙が原因とみられています。


3.禁煙のメリット
 タバコを止めることができれば、長期的には非喫煙者に近いレベルまで健康状態を改善させることができます。たとえば、35歳までに禁煙すれば寿命は10年長くなります。長期間吸い続けるほど悪影響は蓄積しますが、60歳で禁煙しても3年程度は寿命が延びるとされています。


4.タバコの依存性
 これほどまでに健康に悪影響を及ぼすことが分かっているにもかかわらず、なかなか禁煙に成功する喫煙者は多くありません。その一番の理由は、「ニコチン依存」にあると考えられています。
 タバコを吸うと、煙に含まれるニコチン摂取によりドーパミンを介した快刺激(爽快感、気分の安定など)が生じます。しかし、ニコチン摂取を繰り返していくうちに体が慣れてしまい、今度はニコチンがないと不快な気分が生じるようになります。ニコチンには麻薬と同じぐらい強い依存性があるといわれています。


5.禁煙治療について
 何も対策をしないと、禁煙を目指した喫煙者が1年後も禁煙を続けられる確率は1割程度であるというデータがあります。一方で、適切な働きかけをすることにより禁煙率を数倍に高められることも知られています。働きかけのポイントとして大切なことは、「禁煙の重要性を伝える」ことと「禁煙のための解決策を提案する」ことです。
 たとえば、最近では多くの医療機関で禁煙外来が設置されています。医師の管理下で禁煙治療を受けることにより、徐々にニコチン依存状態を離脱することができます。金銭的にも喫煙を継続するより安上がりです。


6.おわりに
 国民の健康増進や社会保障費抑制を理由に、今後も企業に禁煙対策が強く求められていくことが予想されます。従業員(と家族)の健康を守るため、会社の健康管理コスト・リスクを下げるため、法令を守るため、職場での禁煙指導を進めていきましょう!

具体的なアプローチ例:
・オフィスフロアには喫煙スペースを設置しない
・喫煙スペースには健康障害についての啓蒙資料を貼る。
・喫煙スペースの利用可能時間を制限する。
・禁煙治療に補助を出すなど、タバコを止めるインセンティブを高める。
・まず上司が禁煙に挑戦する。

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