2019年6月30日 日本経済新聞「心の病で労災申請、18年度最多更新 厚労省発表」
厚生労働省は30日までに、仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、2018年度に労災申請したのは1820件だったと発表した。
1983年度の統計開始以降最多で、6年連続の増加。精神疾患の労災認定は465件だった。うち自殺(未遂含む)が76件あり、いずれも前年度より減少。過重労働が原因の脳・心臓疾患による労災認定は238件で、15件減少した。うち、死亡(過労死)は82人だった。
全体の申請数は前年度から計125件増加。特に精神疾患で女性からの申請が99件増えた。4月に罰則付きの時間外労働(残業)の上限規制を含む働き方改革関連法が施行され、5月にはパワハラ防止を企業に義務付ける女性活躍・ハラスメント規制法が成立。担当者は「法律の動きに合わせ、精神疾患も労災だという認識が高まり、申請増加につながったのではないか」と話した。
精神疾患の労災認定原因をみると、「嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた」と「仕事内容や量に大きな変化があった」がいずれも69件で最多。「セクハラを受けた」は33件で、全て女性からの訴えだった。
精神労災の申請件数は、ここ20年ほど右肩上がりに急増しています。19年前の平成12年の申請件数が212件だったことと比較し、実に9倍近くに増えています。認定件数は昨年比で若干減りましたが、ここ数年は500件前後で推移しており、以前は精神労災よりも多かった脳・心臓血管の労災の倍近い水準です。
近年、長期休職者の半数以上がメンタル不調が原因と言われていますが、その多くに長時間労働やパワハラなどの職場のストレスが関与しています。今年から長時間労働対策が強化され、来年からパワハラ防止が法制化される現状をみるに、今後さらに精神労災の問題がクローズアップされることは間違いありません。
精神労災の問題を起こしてしまうと、当該従業員の健康が害されるのはもちろんのこと、職場の雰囲気悪化、生産性低下、会社の評判の悪化などにより、経営にも大きな悪影響が生じます。長時間労働是正やハラスメント防止は当然のこと、ストレスチェックの集団分析+職場改善活動などを通じて、メンタルヘルス不調の起こりにくい職場づくりを継続するようにしてください。
Column記事
2019.07.01
(記事紹介)心の病で労災申請、18年度最多更新
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