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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2017.11.02

同一労働同一賃金の原則について

現在、日本における非正規雇用労働者は全労働者の約4割に上ります。その中には子育てや介護などを理由に非正規雇用を選択した人だけではなく、正社員になれず不本意ながら非正規雇用を選んでいる労働者も少なくありません。
一方、正規雇用と非正規雇用の間には、賃金・福利厚生・教育研修などの点で小さくない格差があります。例えば、非正規雇用者の賃金水準は正規雇用者の7割以下とのデータがあります。また各種手当やOJTの場面でも、正規従業員と非正規従業員を区別している企業がほとんどではないでしょうか。

確かに定年前で勤めることが期待されている正規従業員と、短期契約で働いている非正規従業員との間に違いを設けることが常に不合理とは言えません。しかし大きすぎる格差を放置すれば、非正規従業員の不満が高まるだけではなく、以下のような点で国や企業にも多大な不利益が生じかねません。

・正規雇用を維持するために妊娠・出産・子育てなどを避ける若者が増えて少子化に繋がる
・家族が高齢者のサポートを十分にできなくなり、介護制度が破綻する
・十分な教育を受けていない労働者が増えて日本全体の労働生産性が劣化する
・労働者間の格差が過度に大きくなり、職場環境や人間関係の悪化につながる

このような問題を防ぐため、「正規・非正規に関わらず、同一の労働を行なっている労働者には同一の賃金を支払うべきである」という考え方が「同一労働同一賃金の原則」です。現在の日本でも、パート労働者や有期契約労働者の不合理な待遇差(賃金差等)は パートタイム労働法や労働契約法において禁止されています。しかし、これらの法律は「職務内容や転勤の有無などの考慮要素に照らして不合理な待遇差を禁止する」という建てつけになっているため、具体的にどの程度まで格差が許容されるのか明らかではありませんでした。

許容される範囲を明らかにして非正規労働者を守るため、今後同一労働同一賃金ガイドライン案が作成・公表される方針になっています。まだ公表時期は未定ですが、最近では「非正規労働者に各種手当を認めない規定が違法である」という裁判所の判断も出てきています。

今「働き方改革」がトピックスになっていますが、改革すべきなのは正社員の働き方だけではありません。自社の規定が過度に非正規労働者の権利を害していないか確認し、全ての従業員が格差を感じずに仕事を続けられる環境を整えるようにしてください。

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