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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2019.01.31

(記事紹介)女性の健康サポートについて

2019年1月26日 日本経済新聞夕刊「働く女性の健康 企業がサポート」

企業の間で女性社員の健康をサポートする動きが広がっている。女性は生理などで体調が左右されやすい。多忙で食事できず栄養不足に陥るケースもある。働く女性が増えるなか、生産性を上げ、長く勤務してもらおうという意識が高まりつつある。生理や加齢でホルモンバランスが変わる女性は、生理痛やイライラなど月経前症候群(PMS)、更年期症状などに悩まされることがある。経済産業省の調査では女性の約5割が「女性特有の健康課題で職場で困った経験がある」と回答。バイエル薬品は生理痛などによる労働損失は年4911億円と試算する。現代の女性は痩せすぎの傾向もある。女性の健康支援に取り組むラブテリ(東京・中央)は2014年から、20~30代の働く女性の健康を調査。東京では1日のエネルギー摂取量が1480キロカロリーと、必要摂取量より約500キロカロリー少なかった。終戦直後、1946年の約1720キロカロリー(都市部)をも下回る。企業の健康経営を後押しする経産省ヘルスケア産業課は「これまでの健康対策はメタボ対策など男性中心だった」と振り返る。男女それぞれの事情に合わせた対策が求められている。


日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、これに伴って、2008年以降は就業者数も減少しましたが、2013年から就業者数は徐々に増加に転じています。ここで、2012年から2016年の4年間で日本の就業者数は170万人増加しましたが、そのうち女性が147万人増となっており、女性の就業率の上昇が、就業者数の増加を支えていることが分かります。女性の就労については、いわゆる子育て世代の離職が問題となっており、世代別にみた就業率は長くM字型を呈していました。しかし、内閣府男女共同参画府の「働く女性の活躍の現状と課題」によると、生産年齢人口(15~64歳)の就業率は、男女雇用機会均等法が施行された1986年の53.1%から、2016年には66.0%と改善しています。更に、2017年の就業構造基本調査によると、25~39歳の女性の就業率も、75.7%と過去最高を更新しています。多くの女性が、働き続けることを希望して就業しています。

ここで注目すべきは、いわゆる生産年齢人口(15~64歳)とされる年代では、男女ともに異なった健康リスクがある点です。女性では、生理や痩せから鉄欠乏性貧血を生じやすいことに加えて、甲状腺疾患や、乳がん、子宮がんといった疾病に注意が必要です。また閉経に伴って、コレステロール値や血糖値が上昇しやすくなるため、こうしたホルモンの変化に伴う動脈硬化性疾患のリスクにも気をつける必要があります。上記の記事でも、企業内で管理栄養士が女性に向けた食事指導を行ったり、研修で女性特有の健康問題を扱ったり、健康診断で貯蔵鉄を測定して鉄欠乏を防ぐ取り組みが紹介されました。また近年は、健診やレセプトなどの健康医療情報の電子的管理が進んでいます。今後は、健診などの健康医療情報を電子データとして活用し、加入者の健康状態に即したより効果的・効率的な保健事業を行う「データヘルス」が盛んになると考えられます。さらに、体脂肪測定や身体活動量の測定、血糖推定値を皮膚間質から測定するデバイスなど、企業がIoTを駆使することによって、女性を含めた全社員の健康状態を素早くフィードバックすることも可能になってくるかもしれません。

日本は人口減少と高齢化を受けて、就業構造の変革を迎えています。女性の健康が経営に直結することを理解し、企業が女性を含めたひとりひとりの社員を、データヘルスやIoTなど様々なツールを駆使してサポートする時代に入ったといえます。

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