普段から体重を気にされる方は少なくないでしょう。日本だけでなく、多くの国で体重増加・肥満は大きな健康問題の一つとなっています。肥満・体重増加を防ぐため、運動を始めることよりも敷居の低い食生活に気を使ったダイエットは、雑誌、TVなどのメディアを常に賑わわせています。今では、低糖質ダイエットや低脂質ダイエットといった言葉もなじみのない言葉ではなくなってきました。
低糖質ダイエットは、個人個人の遺伝子の違いが糖の吸収の仕方に影響を与えるという研究報告から発展してきました。一部の人には、糖質を抑えた食事をすることで、効果的に体重減少が起こるという報告があったのです。しかし、これに反論する結果も近年出てきています。
有名な医学雑誌にJAMAに掲載された、609人の体重と食事内容を12か月追跡した研究では、遺伝的な違いを考慮しても、低脂質ダイエットと低糖質ダイエットの二つの間で体重減少効果に違いは認められなかったという結果が報告されました。
また、いくつかの研究結果をまとめて解析した別の研究では、摂取する糖質を1日50g未満、あるいは摂取カロリーの20%までに制限する低糖質ダイエットで、低脂質ダイエットよりも体重減少効果は大きかったという結果が得られましたが、研究内容を詳細に調べると低糖質ダイエットを行ったグループでは、低脂質ダイエットを行ったグループよりも、トータルで摂取したカロリーが少なかったのです。この研究では、他にも様々なダイエットを比較検討していますが、体重減少に特別有効となる食事療法はないという結論でした。
糖尿病や心血管障害の発症率や死亡率は、摂取する糖質の量が多すぎても、少なすぎても上昇するという報告もあります。特定のダイエット法にこだわるのでなく、脂質、糖質、たんぱく質のバランスの取れた健康的な食事を続けながら、トータルでとるカロリーを減らすことが、体重減少には望ましいといえるでしょう。
参考論文:
Mary Yannakoulia ⁎, Dimitrios Poulimeneas, Eirini Mamalaki, et al. : Dietary modifications for weight loss and weight loss maintenance. Metabolism Clinical and Experimental 92 (2019) 153–162
Gardner CD1, Trepanowski JF1, Del Gobbo LC et al. :
Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion: The DIETFITS Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2018 Feb 20;319(7):667-679
Column記事
2019.04.16
ダイエット法と体重減少の関係:最近の動向
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