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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2014.11.18

人間関係と肥満の関連

肥満が高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を引き起こし、健康に悪影響を与えることはよく知られています。また、体重増加には偏った食習慣や運動不足、遺伝的素因などが関係していることも、皆さんご存知かと思います。一方、近年の研究により「人と人とのつながりが肥満に影響を与える」ことも分かってきました。これに関して、アメリカで行われている世界最大のコホート研究(長期間の追跡研究)であるFramingham Heart Studyの結果をご紹介させていただきます。

この研究では、被験者の家族や友人、隣人といった人間関係を詳細に確認し、肥満の発症リスクと人間関係について30年以上にわたり追跡調査が行われました。
その結果、以下のことが分かりました。

①友人が肥満になった場合、その後に肥満になるリスクが37%増加した。
②お互いが親友同士と考えている場合は更にリスクが高く、肥満リスクは171%も増加した。
③この関係は同性の友人のみで認められ、異性の友人が肥満になっても特に影響を受けなかった。
④配偶者が肥満になった場合の肥満リスク増加は、37%と比較的低い数字であった。
⑤友人以外の隣人が肥満になっても、肥満リスクは増加しなかった。

いかがでしょうか?この結果は、肥満が「社会的つながり」という有機的な関係を介して波及していくことを示しています。もう少し簡単に言えば「普段仲良くしている人が肥満になると、自分も肥満になりやすい」ということになります。
一方で、このような効果が同性間で強く認め、異性間では明らかではないのも興味深いところです。「同性の友人の体型が気になる」というのはよく経験することですが、そのような認識(一種の見栄でしょうか)が研究結果にも影響しているのかもしれません。

なお、この研究結果を逆に解釈すれば、自分がダイエットすることで周りにいる太り気味な友人にもいい影響を与えられる…と考えることもできそうです。こういった知識を、是非ダイエットへのモチベーションにつなげてみて下さい!


参考:石澤香野,佐倉宏; 肥満を生み出す社会-Framingham Heart Study追跡調査-; 内分泌・糖尿病科 26(5)489-495, 2008.

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