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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2015.05.20

(労災事例紹介)裁量労働と過労死

2015年5月12日 産經新聞
「裁量労働の男性は過労死 労災認定「極めて異例」未明起床のアナリスト」

あらかじめ一定の時間を働いたとみなし給料を支払う「裁量労働制」で働き、心疾患で亡くなった市場アナリストの男性について、労働基準監督署が過労死として労災認定したことが12日、遺族側の代理人弁護士への取材で分かった。弁護士によると、裁量労働制で働く人が過労死認定されるのは極めて異例。
遺族側代理人の弁護士によると、男性は市場情報の提供会社に勤務。未明に起床して顧客にリポートを送り、夕方退社する生活だった。平成25年7月に倒れ、心室細動で亡くなった。男性は残業を月40時間とされ、会社側は正確な労働時間を把握していなかった。
遺族側は発症前1カ月の残業を133時間、発症前2~6カ月の平均を108時間と見積もり、過労死の労災認定基準を超えていたと判断。26年8月に申請し27年3月に認定された。


長時間残業をしていた従業員が心筋梗塞や脳梗塞になってしまった場合、業務起因性が認められて労災と認定される可能性があります。通常は月100時間以上、または慢性的に月80時間以上の残業を続けていることが一つの基準となっていますが、裁量労働制の場合は正確な労働時間の把握が困難であり、労災と認定されることがほとんどありませんでした。今回の事例では顧客向けのリポートを出した時間帯がメールの受信記録から明らかであったため、残業時間の算出が比較的容易だったようです。

労災の認定には「業務起因性」と「業務遂行性」が求められますが、会社が故意に残業させていたか否かは関係がありません。つまり、本件のように残業時間を会社が把握していなくても、業務に関連して長時間労働が発生している場合には労災になる可能性があるわけです。

裁量労働制であっても、企業はみなし時間を超えた分の残業代を支払う必要がありますし、安全配慮義務の観点からも残業時間管理は必要です。これをきっかけに社内の勤怠管理に問題がないか確認してみて下さい。

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