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Column記事

2015.06.10

(裁判例紹介)労災受給者の解雇について

2015年6月9日 日本経済新聞 「労災受給者の解雇可能、最高裁初判断 打ち切り補償条件に」

労災認定を受けて休職・療養中に解雇されたのは不当だとして、専修大の元職員の男性が解雇無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は8日、「国から労災保険の支給を受けている場合でも(使用者が)打ち切り補償を支払えば解雇できる」とする初判断を示した。


労働基準法では業務上のケガや病気で療養中の解雇を原則禁止していますが、使用者が費用負担して療養を始めてから3年が過ぎても治らない場合、賃金1200日分の「打ち切り補償」を支払って解雇できると規定しています。今回の訴訟では、使用者が療養費を負担せず、国が労災保険を支給している場合でも打ち切り補償の規定を適用できるかどうかが争点となりました。

労災保険は使用者が直接支払っているわけではありませんが、保険料自体は会社が支払っていることもあり、実質的には療養費負担と同じではないか…という議論は以前からありました。今回の最高裁の判断により、労災事案であっても打ち切り補償の規定の適用ができることが確認されました。

この判決に対し「業務に起因した病気や怪我による解雇が認められやすくなる」といった議論もあるようですが、それほど単純な話ではありません。本件は休職してから4年程度労災給付を受け、さらに約1630万円の打ち切り補償も満額支払われた事例であり、このような手厚い対応がない場合には逆の判断も十分に有り得ます。

労災と解雇の問題を考える上で最も重要なのは、そもそも労災を生じさせない就労環境を作ることです。本判決は最終的に会社側の主張が認められましたが、勝敗に関わらず判決に至るまでには原告も会社も多くの犠牲を払ってきたはずです。事故防止、労働時間削減、ハラスメント対策等を通じて、労災問題の生じない環境づくりを目指して下さい。

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