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東京銀座の産業医事務所 セントラルメディカルサポート

Column記事

2015.07.03

(記事紹介)精神疾患に伴う労災が急増しています!

2015年6月25日 毎日新聞「労災:精神疾患が過去最多…長時間労働の影響深刻に」

厚生労働省は25日、2014年度の精神疾患と脳・心臓疾患の労災補償状況を公表した。精神疾患による労災請求は1456件で、13年度を47件上回った。うち労災と認定された件数は497件で13年度を61件上回り、請求、認定いずれも過去最多となった。
精神疾患による労災認定の内訳は男性347件、女性150件。うち99件は自殺(未遂含む)で、13年度より36人増えた。厚労省が過労死のリスクが高まると位置づける「過労死ライン」の残業時間「月80時間以上の残業」は13年度より57件多い201件。このうち、160時間以上の残業は13年度の31件の2倍を超える67件に上り、長時間労働による過労の実態が浮かび上がった。要因別では「悲惨な体験」が72件で最多。次いで「パワハラや暴行」が69件だった。


近年精神疾患による労災認定件数が急増しています。平成12年度には年間36件しか認定されませんでしたが、平成26年度は497件と、実に13倍以上に急増しています。この背景としては「労災認定基準が明確化されたこと」「業務に関連して病気になった時は労災申請する、という意識が労働者に高まってきたこと」などがあるとされています。なお、脳や心臓の血管障害を理由とした労災認定については平成27年度は277件であり、ここ10年程度は300件前後で推移しています。つまり、心身の疾患に伴う労災認定はメンタル不調が中心になってきていることを理解する必要があります。

労災を防ぐために、まず行っていただきたいのは長時間労働者対策です。労災認定者の実に4割が過労死認定基準(月80時間以上)を上回る残業を行っていたとのデータが明らかになりましたが、労基署も労災認定を判断する上で労働時間を最も重視しています。まずは従業員の勤怠についてしっかりと把握し、極端に労働時間が長い従業員から重点的に勤務時間削減対策を取るようにして下さい。

また、「悲惨な体験」(悲惨な事故や災害の体験、目撃をしたこと)が要因別では最多となっている点にも注意が必要です。これは本人が重大事故に遭遇したケースだけではなく、「同僚が高所から転落したのを目撃した」「連絡のつかない部下の自宅に訪問したところ自殺しているのを発見した」といった精神的ストレスによるメンタル不調も含まれます。後者のタイプのメンタル不調を減らすためには、重大事故発生時に被害者だけではなく周囲の従業員のメンタルサポートにも留意することが求められます。

要因別の第2位は、パワハラやセクハラなど、いわゆるハラスメントの問題です。ハラスメントの判断基準は社会状況によって変遷があり、以前なら「厳しい指導」として認められていた行為がハラスメントに認定されてしまうことも珍しくありません。一言で言えば「加害者ではなく被害者がどう考えるか」が判断基準になるので、管理職向けのハラスメント講習会を開く等して、「加害者も被害者も作らない」職場環境作りを進めて下さい。

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